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「マリノ・カピキオーニ」(1895〜1977)は、サンマリノで生まれ、20世紀中盤から後半に活躍したバイオリン製作者の一人です。彼は、19歳でフランスのギター工房にて1年間修行をしましたが、すぐにイタリアへ帰国してしまいます。生まれ故郷に帰った彼は 、その地で多くの製作者から情報を得てバイオリン製作をはじめます。そして、1929年にリミーニに移り、残りの人生を過ごすことになりました。彼の製作した作品が、クレモナ、ローマ、パドバ、アスコッリでの博覧会で賞賛を受けたことは周知の事実です。

作品は、3期に分けられますが、20代から30代にかけての第1期は、技術面において優れていたものの、人格的な問題を抱えていました。この時代の作品は少々衒学的で、彼の面影をみることは非常に困難です。
また40代は、彼のスタイルやモデルが変化した時代(第2期)で、第1期とは比較にならないほどすばらしい楽器を製作しています。

そして50代になると、彼の作風は完成度を深め、安定したすばらしい楽器を製作する第3期へと入ります。その作品は古典的モデルや、時にはヴィオリストのターティスに触発されていましたが、非常に個性的でした。1960年代からは、ガルネリ・デルジェスのモデルも用いるようになりました。木材には、特に1950年代から1960年代にかけて、最高品質のものを使用しています。裏板は広い縁取りで、表板は至極一般的でありますが、彼は冬目を強調するのが好きでした。アーチは完璧で、下地やニスが彼の作品をより個性的にしており、鑑定の際、この時期の彼の楽器は容易に見極める事ができます。

1970年代になると、彼の作品は息子マリオの手が入った作品があらわれますが、マリオの作品もすばらしく、時に父マリノの作品と見分けることが困難な作品もあります。しかし、細工や仕上げ、また精神性や完成度の高さ、深みの面で二人の違いを見てとることができます。


マリノ・カピキオーニの作品は音質の面でも非常にすばらしく、その名声は広く響き渡り、ヴァイオリニストのメニューインやオイストラフ、アッカルド、アーヨ、ヴィオリストのターティス、カルミレッリ、チェリストのロストロポーヴィッチ、ロッシ、ヤニグロ、といった多くの著名演奏家達に使用されました。


このヴィオラ“ex Urakawa”は、第3期の真っただ中に製作された作品で、作り、材質、ニス、状態、音、すべての見地から「最高品質」といえる楽器です。このヴィオラのご購入に関するお問い合わせは こちらから お願いいたします。










浦川 宜也ヴァイオリニスト


ミュンヘン国立音楽大学を首席最優秀賞で卒業と同時にドイツ、プファルツ交響楽団第1コンサートマスターに就任。以降、バンベルク交響楽団第1コンサートマスターを経て、独立。ヨーロッパを中心にソリストとして数々のオーケストラと共演する。その後日本に居を移し、東京藝術大学、東京音楽大学大学院で教鞭を執り後進を指導するとともに、数多くの演奏活動を行う。独奏活動のほか、室内楽、弦楽合奏を主体とした室内オーケストラの指揮、東京クラシックプレイヤーズ主宰として活動範囲を広げている。これまでに、日本国内以外に西欧・東欧・中国・米国・豪州などで演奏。

楽譜校訂は、ベートーヴェン・ソナタ、バッハ無伴奏、モーツァルト協奏曲他多数に及ぶ。
レコーディングは1975年より本格的に着手、バルトークの無伴奏ソナタ、ベートーヴェン及びブラームスの全ソナタを協演収録のほか、クライスラー小品も収録。その他、4大協奏曲、J.S.バッハとモーツァルトのほぼ全ての作品の収録を成し遂げる。タイトル数では邦人アーティストのトップクラスにランクされている。

現在、東京藝術大学名誉教授、東京音楽大学大学院担当客員教授。《小野アンナ記念会》会長の他、《NPO法人文化日独コミュニティー》の理事長を務める。

ヴァイオリニスト浦川宜也オフィシャルウェブサイト









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参考文献
「Universal Dictionary of violin & bow makers」  著 William Henle
「Liuteria Itariana」  著 Eric Blot
「L’Archet」  著 Bernard Millant, Jean Francois Raffin